知的好奇心の育て方

雑記子供,教育,生物と無生物のあいだ,知的好奇心

「これなに?」

2歳の娘は、ありとあらゆるものを指さして、
僕に質問してきます。
この質問に答えるのは簡単です。
たいていの場合、明確な1つの答えがあるから。

例えば空に浮かぶ白いフワフワを指さす娘に
「雲だよ」
と答えればいいだけです。

ただ、これだけでは良くても「雲」という単語を娘が覚えるだけです。
実際にこのとき娘は「雲」と、僕が言ったことをオウム返しして、
次の日にはまた同じ質問をしてきました。

かといって、この時に
「雲っていうのは空気中の水蒸気が…」
なんて説明をしても、強烈なポカン顔をお見舞いされるだけです。

僕は次の日
「雲だよ」
といった後、しばらく黙って一緒に雲を見ていました。
次第に雲が動いたり、太陽と重なったり、遠くから大きな雲がこっちに向かってきたり、
変化が起こります。

娘がそれらの変化に反応して「なんで?」と僕に聞いてきます。

僕はこの「なんで?」を娘から引き出すために、黙っていました。
自発的に考えることで、記憶の定着率が大幅に上がるからです。

僕は「なんでだと思う?」と聞き返します。
そして、娘が何を疑問に思っているのかを探りながら、
一緒に考えます。
雲が動いている、ということに対する「なんで?」だとしたら、
「動いたらどうなる?」「車も動くよ。どう違う?」
という感じで、もともと知っている知識とリンクさせてさらに考えさせます。
正解にたどり着く必要はなく
考えて頭の中をきちんと整理することが出来ればOKです。

次の日から、娘は雲を見ると
「あれなに?」ではなく「雲だ!」
というようになりました。



子供の無邪気な質問に深みはありません。
子供は反射的に質問しているだけです。

しかし中には大人でも答えに窮する深いテーマが含まれている場合があります。

例えば
「生きているってなに?」です。

これを子供に聞かれたらちゃんと答えられますか?

答えられませんよね。

今回のオススメ本である「生物と無生物のあいだ」の著者、
福岡真一教授が、京都大学在学中に受けた講義でも、
明確な答えは得られなかったとおっしゃっていますし。

でも、これって考えるだけでめちゃめちゃ面白い問題ですよね。

ちょっと考えるだけで
・生きている→心臓が動いてる?呼吸をしている?
・じゃあ植物は?細菌は?
・生物学としてではなく、哲学など他のアプローチにしても定義が変わりそう。

ちなみに
「生命とは、自己複製を行うシステムである」というのが、
20世紀の生命科学が到達した答えであると本書では紹介されています。

でも、それは現時点で人類が到達した場所であって、
それがゴールなのかは誰にもわかりません。

考えるだけで楽しく、
たどり着けないくらい奥が深すぎる問題は知的好奇心の宝庫です。

そんなことを、娘と一緒に考えることは
父親の僕にとって、何よりの幸せです。

そんな誰にもたどり着けない疑問に、
誰より真剣に、生涯をかけて取り組んでいる天才科学者、
福岡伸一教授のベストセラー。

難しいことがわからなくても、
読み物として抜群に面白いので、
うちの娘にも将来読んでほしい!
と思って本棚に取っといてあります。

興味ある方はぜひ。


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える                             ~Amazonより引用~

応援のクリックお願いします!
にほんブログ村 料理ブログ おうちごはんへ


おうちごはんランキング